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「どうやってHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染するのかな?」と心配になっていませんか?日常生活の中で「もしかして感染するのかな?」と不安な気持ちがあると快適に毎日を送れませんよね。
実はHIVの感染経路は性行為や血液、母子感染でうつることがほとんどで、日常生活の中で感染する病気ではありません。正しい知識を身につけ、適切に予防すれば感染を防げます。
この記事ではHIVの主な感染経路や感染しないケース、効果的な予防法も詳しく解説します。予防方法を知ることが大切なひとやあなた自身を守ることにつながります。
HIVの主な感染経路
HIV(ヒト免疫不全ウイルスとは「人の免疫細胞に感染するウイルス」でHIV=AIDS(後天性免疫不全症候群)ではありません。HIVに感染し徐々に体内の免疫細胞が減っていくことで普段は感染しないような病気にもかかりやすくなることをAIDSといいます。
主な感染経路は以下の3つです。
①性行為による感染
②血液を介した感染
③母子感染
①性行為による感染(精液・膣分泌液・血液)と行為別リスク
HIVは性行為を通じて感染することが最も多いです。ウイルスは感染している方の精液、膣分泌液、あるいは血液といった体液に多く含まれています。これらの体液が性行為の際に相手の粘膜(例えば、膣、肛門、口腔など)や体にある小さな傷口に直接触れることで感染します。
性行為の種類による感染リスクは以下の3つです。
| 性行為の種類 | 感染リスク |
| 肛門性交(アナルセックス) | 直腸の粘膜は非常に薄く、傷つきやすいため、最も感染リスクが高い性行為 |
| 膣性交(ペニスと膣の挿入) | 膣の粘膜からウイルスが感染 |
| オーラルセックス(口を使った性行為) | 口の中に傷がある場合やウイルスを含む体液が大量に触れた場合には感染するリスクがある(感染リスクは低い) |
性行為でHIV感染を防ぐには体液が直接粘膜に触れないようにすることです。コンドームを正しく使用すれば粘膜に体液が直接接触するのを防ぎ、HIV感染のリスクを大幅に減らすことができます。
②血液を介した感染(注射器の共有・輸血・医療行為など)
HIVはウイルスが含まれる血液が直接体内に入ることで感染するケースもあります。特に注射器や針の共有はHIVに感染するリスクが非常に高い(※1)ので絶対にしないでください。
血液を介して感染する具体的な状況としては以下3つです。
| 感染リスクのある行為 | 内容 |
| 注射器や針の共有 | 複数人で使い回すとHIVが感染するリスクが非常に高い |
| 輸血による感染 | 献血された血液はスクリーニング検査を受けるためHIV感染は極めて低い |
| 医療行為における感染 | 厳格な感染予防策が講じられているため感染リスクは非常に低い |
医療従事者が患者の感染した血液に触れる事故や、不適切な医療行為によって患者さんが感染する可能性は理論上はゼロではありません。あなた自身が注射器や針の使いまわしなど危険な行為をしなければ血液を介してHIV感染する可能性は限りなく低いでしょう。
③母子感染の仕組み(妊娠中・出産時・母乳)
HIVは「母子感染」という感染経路も存在します。妊娠中にHIV感染が分かりショックを受ける方もいるでしょうが、実は母子感染は効果的に予防できます。感染後に適切な対策をとることが母子ともに健康を守ることにつながります。
母子感染するタイミングは以下の3つです。
| タイミング | 感染リスク |
| 妊娠中 | 母親の血液を通じて胎盤を介して赤ちゃんにウイルスが感染 |
| 出産時 | 赤ちゃんが産道を通る際に母親の血液や体液に触れることで感染 |
| 母乳 | 母乳中にウイルスが含まれているため授乳によって赤ちゃんに感染 |
HIV陽性の妊婦に対しては3つの予防策を講じることで母子感染をできる限り抑えることができます。
- 妊娠中から抗HIV薬を服用
- 出産方法を検討(帝王切開)
- 母乳を与えず、人工乳で育てる
これらの対策を組み合わせることで、赤ちゃんへの感染リスクを1%未満に抑えることが可能(※2)です。実際、このような予防策の普及により、小児における新規HIV感染は劇的に減少しました。ただし、HIVに触れた可能性のある赤ちゃん(HIV曝露児)は、たとえ感染していなくても、独特の健康上の課題に直面する可能性があるため、継続的な包括的なケアが必要であることも忘れてはいけません。
HIVが感染しないケース
HIVは感染経路が限定的で日常生活の中で感染することは限りなく少ないです。正しい知識を身につけることがあなたや大切な人が安心した日常を送るためにも大事です。ここからは日常生活の行動とHIV感染のリスク、感染することがほとんどない理由について解説します。
キス・握手・同じ食器の使用など
HIVは感染力のある特定の体液(血液、精液、膣分泌液、母乳)を介してのみ感染が成立します。そのため日常的に行う接触行為ではHIVが感染することはありません。
例えば、以下のような状況では、HIV感染の心配はほとんど不要です。
| 状況 | 理由 |
| キス、抱擁、握手 | ・唾液中にウイルスは微量しか含まれておらず感染には至らない |
| 咳やくしゃみ | ・飛沫に含まれるウイルスはごく微量で空気感染もしない |
| 食器やグラスの共有 | ・口腔内の傷がない限り感染のリスクはない |
| タオルや衣類の共有 | ・ウイルスは体外に出ると急速に感染力を失う |
| トイレや浴室、プールの共有 | ・排泄物や水から感染しない ・ウイルスは水中で感染力を保てない |
| 蚊などの虫刺され | ・蚊の体内でHIVウイルスは増えず、媒介しない |
HIVウイルスは唾液や汗、涙、尿、便などに含まれていたとしても非常に少ない(※3)ため感染することはありません。
日常生活で感染することはほとんどない理由
HIVウイルスは人の体外では非常に不安定な状態となり、感染力を失ってしまう性質があります。つまり、空気感染や接触感染しないウイルスで、日常生活を送る中で感染するリスクは限りなく低いです。(※4)
日常生活でも感染しない行動は以下のとおりです。
- タオルや衣類の共有
- トイレや浴室、プールの共有
- 蚊などの虫刺され
HIVは直接粘膜に感染した体液や血液が触れることがなければ感染するリスクが低いため、過度に心配する必要はありません。
HIV感染のリスクを高める行為
HIV感染のリスクを高めるのは粘膜と体液が直接接触する性行為です。また、陽性者の血液が直接血管に入り込むような注射の使い回しもとても危険。感染リスクが高い行為を知ってあなた自身が身を守る行動をとることが大切です。
特にHIV感染のリスクを高める行為は以下の3つです。
①性交渉時にコンドームを使用しない
②複数の性的パートナーとの関係
③使い回しの注射器や針の使用
①性交時にコンドームを使用しない
性交渉時にコンドームを使用しないとHIVを含む体液が直接触れ合うことになり、感染のリスクが大幅に高まります。HIVは感染している方の精液、膣分泌液、血液といった体液中に存在し、性交渉を通じて互いの粘膜や体にある小さな傷口から体内に入ることで感染します。コンドームは体液の直接的な接触を防ぐバリアとして非常に有効な手段です。
コンドームの予防効果を最大限に発揮するためには正しい装着が欠かせません。
コンドームの取り扱いで注意するポイントは以下の3つです。
| 注意ポイント | 内容 |
| 使用するタイミング | ・性器が触れ合う前に必ず装着 ・挿入直前の装着では遅い場合がある |
| 正しい装着方法 | ・コンドームの先端にある空気抜きを軽くつまみ、根元までしっかり装着する ・空気を抜くことで破損リスクを減らす |
| 破損防止ポイント | ・使用期限を確認する・適切なサイズを選ぶ ・直射日光や高温注意 ・財布の中は熱や摩擦で劣化する可能性あり ・潤滑剤は水性またはシリコン性を使用 |
これらの注意点を守ることは、ご自身の健康だけでなく、大切なパートナーの健康も守るために非常に重要です。
②複数の性的パートナーとの関係
複数の性的パートナーとの関係を持つことは、HIV感染のリスクを高める要因の一つです。パートナーの数が増えるということは、それだけ多くの人との間で体液の交換が生じる可能性が高まることを意味します。もし、パートナーの中にHIVに感染している方がいた場合、ご自身が感染する可能性も高まります。さらにご自身が感染した場合、他のパートナーにウイルスを広げてしまうリスクも生じます。
複数の性的パートナーがいる場合のリスクについて表にまとめました。
| リスク | 内容 |
| 感染機会の増加 | ・性交渉の機会が増えるため、HIVに感染するリスクも増加 |
| 感染経路の複雑化 | ・複数の人と性交渉すると感染源が特定しにくい ・感染源が不明な場合、適切な予防策や早期発見が遅れる |
| 感染状況が不明確 | ・新しいパートナーが感染しているか不明 ・自身の感染状況を把握しているかわからない |
このような状況で感染リスクを減らすためには、対策をとることが重要です。
複数パートナーがいる方がHIV感染を予防するために必要な対策は以下の3点です。
| 対策 | 内容 |
| 定期的にHIV検査を受ける | ・自身の健康状態を把握する ・新しいパートナーと性交渉するたびに検査を受けるとより有効 |
| パートナーとのコミュニケーション | ・お互いに性感染症検査の結果について相談できる関係性を築く |
| コンドームの使用 | ・パートナーの数に関わらず、性交渉をする際はコンドームを使用する |
ご自身の健康を守るだけでなく、大切な方を守るためにも、これらの点について改めて考えてみることが大切です。
③使い回しの注射器や針の使用
注射器や針の使い回しは、HIVが血液を介して感染する代表的な経路の一つであり、極めて高いリスクを伴います。これは、HIVウイルスが血液中に存在するため、感染者の血液が微量でも残った注射器や針を別の人が使用することで、直接体内にウイルスが送り込まれてしまうためです。
特に下記の3点のような状況下でリスクが高まります。
| リスクが高まる行為 | 注意点 |
| 薬物乱用における注射器の共有 | HIVだけでなく、C型肝炎などの血液感染症などの血液感染に感染するリスクがある |
| 不衛生な環境での医療行為 | 滅菌されていない注射器や針の使用 |
| タトゥーやピアスの施術 | 滅菌されていない器具を使用すると感染リスクが高まる |
注射器や針の使用は衛生管理が十分に整っている環境で行われるのが一般的です。医療行為を行う場合は器具の清潔が重要で、医療機関では衛生管理を徹底しています。
感染を防ぐためには、以下3点に注意しましょう。
| 注意すること | 内容 |
| 注射器や針の共有は絶対にしない | 他人が使用した注射器や針は絶対に使用しない |
| 医療機関や施術所の選定 | 医療行為や施術を受ける場合は適切な医療機関を選ぶ |
| 自己注射を行う場合 | 毎回新しい針や注射器を使用する |
血液を介した感染は、予防策を徹底することで防ぐことができます。ご自身の健康と安全を守るためにも注意してください。
HIV感染を防ぐための予防法
HIV感染は性交渉中にコンドームを着用することで、感染リスクを大きく減らせます。適切な予防方法を講じることで感染するリスクは減らせるので、正しい知識を身につけることが重要です。ご自身と大切な人を守るために、具体的にどのような予防法があるのか、一緒に確認していきましょう。
コンドームの正しい使い方と予防効果
コンドームはHIVだけでなく梅毒や淋病などの性感染症の予防に最も身近で、有効な方法です。性行為中に精液や膣分泌液といった体液が直接触れるのを防ぐため感染リスクを大幅に下げる(※5)ことができます。その予防効果を最大限に引き出すためには、何よりも「正しい使い方」を徹底することが重要です。
コンドームを正しく使うための具体的なポイントを8つご紹介します。
| ポイント | 理由 |
| 性行為の最初から最後まで装着する | 感染は性行為の開始直後から起こる可能性があるため、挿入する前に必ず装着する |
| 正しい向きで装着する | コンドームは裏表をよく確認し、正しい向きで、性器の根元までしっかり装着する |
| 先端の空気を抜く | 装着前にコンドームの先端を軽く押さえることで、コンドームが破れるリスクを軽減できる |
| 性器が萎える前にコンドームを外す | 精液が漏れるのを防ぐ |
| コンドームは使い切り | コンドームの再利用は感染リスクを高める |
| 保管方法 | 直射日光や高温多湿を避けて保管 |
| 潤滑ゼリーは水溶性を使用 | 油性の潤滑剤はコンドームを劣化させる可能性がある |
コンドームは正しい使い方をすれば高い確率で感染症予防ができます。大切なひとやご自身のためにも適切な使い方をしましょう。
定期的なHIV検査の受検
定期的なHIV検査は早期発見、早期治療につなげられる大きなメリットがあります。HIVは感染していても早くから治療を受けることでエイズの発症を防ぎ、健康的な生活を送れるようになります。(※6)
HIV検査を受けることには、2つの大きなメリットがあります。
- 早期発見・早期治療につながる
- 大切な人を守る
HIVは早期発見し、早期治療を始めることで体内のウイルス量を効果的に抑えることが可能です。さらに、治療によってウイルス量が非常に少ない状態になれば、性行為による感染リスクがほぼなくなることが科学的に証明されています。(※7)また、自身の感染状況を知ることはパートナーや家族、大切なひとをHIV感染から守ることにもつながります。
HIV検査は、以下の3つの方法で受けることができます。
| 検査方法 | 内容 |
| 保健所 | 国各地の保健所で無料・匿名でHIV検査を受けれる |
| 医療機関 | 心配な症状がある場合や他の性感染症も気になる人におすすめ |
| 郵送検査キット | 手軽に検査したい人におすすめ |
検査のタイミングは、感染の可能性があった行為から、正確な結果を得るために通常3ヶ月程度の期間が経過した後が目安となります。もし少しでも心配なことがあれば、迷わず専門機関に相談してみましょう。検査はご自身の未来の健康を守るために大切なことです。
PrEP・PEPによる感染予防(服用タイミングと注意点)
HIV感染を防ぐための予防法はコンドームの使用や定期的な検査だけではありません。近年、薬を服用することでHIV感染を予防する方法も登場しています。それがPrEP(プレップ)とPEP(ペップ)という二種類の予防薬です。これらは服用するタイミングや目的が異なるため、それぞれの特徴をよく理解しておくことが大切です。
PrEP(プレップ:曝露前予防内服)
PrEPは、HIVに感染する可能性のある行為の前に、毎日継続して薬を飲むことでHIV感染を予防する方法です。
PrEPの詳細は以下のとおりです。
| 目的 | HIV感染のリスクが高い方がHIVに感染しないように予防することを目指す |
| 対象 | HIVに感染するリスクが高いと医師が判断した方が対象 |
| 服用タイミング | 毎日一錠を継続して服用 |
| 予防効果 | 性行為によるHIV感染リスクを99%以上減らせる※ |
| 注意点 | ・必ず医師の処方と、服用前および服用中の定期的な検査が必須 ・副作用として、一時的な吐き気や頭痛などがみられる ・PrEPはHIV以外の性感染症(梅毒、淋病、クラミジアなど)は予防できない ・費用は自己負担 |
PrEPは感染リスクが高い方にとって有効的な予防薬と言えるでしょう。しかし、医師の診察や検査などを経て服用できる薬のため、すべての人に対応できるわけではないことは頭にいれておきましょう。
PEP(ペップ:曝露後予防内服)
PEPはHIVに感染する可能性のある行為があった後に、緊急で薬を飲むことでHIV感染を防ぐ方法です。
PEPの詳細は以下のとおりです。
| 目的 | ウイルスが体内で増殖を始める前に抑え込むことを目指す |
| 対象 | HIVに感染する可能性のある行為があった方が対象と |
| 服用タイミング | ・感染の可能性があった後、72時間以内(できれば24時間以内)に服用を開始 ・1ヶ月間は継続服用 |
| 予防効果 | 早期服用することで感染リスクを低減できる |
| 注意点 | ・PEPは緊急時の対応であり必ず医師の診察と処方が必要 ・約1ヶ月間継続して服用 ・吐き気、下痢、倦怠感などの副作用 ・費用は自己負担 |
PEPはHIVに感染した可能性が高いタイミングで服用できるので、万が一のことがあった時のために知っておくといいでしょう。
まとめ
HIVは「性行為」「血液」「母子感染」の3つの感染経路で感染することがほとんどです。日常生活では感染する病気ではありませんので、過度な心配は不要です。しかし、不適切な行為によって感染リスクが高まることは事実です。
ご自身と大切な方を守るためには正しい知識を身につけ、適切に予防することが何よりも大切です。コンドームの適切な使用、定期的なHIV検査の受検、そして必要に応じてPrEPやPEPといった予防薬の活用をぜひ検討してみてください。もし不安を感じたり、気になる症状がある場合は、一人で悩まず、保健所や医療機関などの専門機関へ相談しましょう。